一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 ネイトの双眸がきらめいた。

「玲奈のパパやママに会いにいこう」
「なんで?」

「日本では、恋人のパパとママに『ムスメサンヲクダサイ』という定型文を言うんだと聞いた。これはどういう意味?」

 感動が、心臓当たりからあっというまに手足の先まであふれる。
 私の両親に会ってくれて、挨拶してくれるんだ。

「その言葉じゃないほうがいいわ」
 
 ネイトがいつのまにか私の背中を抱きしめてくれていて、首筋に唇をおしつける。

「なんて?」
「『お嬢さんと結婚させてください』」

 ベッドサイドからメモパッドを取る。
 幸せのあまり字が揺れてしまったけれど、ローマ字で読み方を教えてあげ。
 練習する彼に幾度となくキスをした。

「オジョーサントゥ……」

 たどたどしく練習するネイトが愛おしい。

「それともネイトのキャラなら、こっちかな」
「玲奈、キャラとはなんだ?」

 彼の質問をスルーした。

「『僕は玲奈と結婚します』」
「ボクーハァー、レイナトゥー?」

 うん、こっちのほうがネイトらしい。

「最初はお願いで、次は宣言なの」

 ネイトは少し考え、お願いのほうを教えてほしいと言った。

「玲奈のパパから君を強盗のように奪ってしまったからね。君の家族には嫌われたくない」

 ネイトの言葉があまりに柔らかくて、感動のあまり震えてしまう。

「ネイト、大好き!」
「マイスウィート、マイラブ」

 私、幸せ大セールしてなかったら、甘過ぎて悶絶していたかもしれない。


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