一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 シャワーを別々に浴びたあと、二人でドイツワインとフルーツで一日の余韻に浸っていたら、ネイトが私の腰に手を回してきた。

『明日、見立てたドレスが届く。エステも頼んであるし、朝から忙しい。玲奈、今日は早く寝るぞ』

 そんなことを言っていたのに、止まらなかったのはネイトだ。
 ねだってしまったのは私だけど。
 ……墜落するように寝入ってから、まだ数時間しか経っていない。

 *****

 分厚いカーテンに遮られて、外がどれくらい明るいのかわからない。
 フットライトの薄明かりのなか、ネイトの逞しいシルエットがぼんやりと見える。
 彼は裸のまま立って電話しているみたい。

『×⭐︎€%!!』

 相手がなにを言っているかはわからないけれど、激していることだけは察せられた。

「ネイト?」
「玲奈。起こしてしまったか、すまない」
「どうしたの?」

 し、と指をあてられた。

「切れた……」

 わざとらしくつぶやくと、なんとネイトは電話を切ってしまった。
< 119 / 224 >

この作品をシェア

pagetop