一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 五分もしないうちに、ネイトの携帯が震えた。
 セキュリティソフトを確認したネイトが、音もなくドアを開けにいく。

 ……あの。
 なぜ毛布にくるんだ私をかかえたままなの。

 大きなトランクを持った数人がドアの前にいた。彼らの、宿泊客のような服装と眼光の鋭さがチグハグだ。

 毛布の間からのぞいていると、男の一人は室内に入るなり、異様なゴーグルをつけた。
 あれって暗視ゴーグル?
 すっ、スパイ映画みたい!

 薄暗がりのなか、取り出したハンディタイプの機器を見ながら、ゆっくりと室内を歩いていく。
 ……やがて、二つ三つと次々に小さな部品を見つけだしていくが、取り出したり壊したりはしない。指をさすだけ。
 ありえない事態の連続に、私が緊張感からもぞもぞしたら、ネイトが髪にキスしてくれた。

 その男がうなずき、別の男がネイトが起動させたセキュリティソフトを確認していく。

 盗聴器以外にもなにがあるか、わからない。
 私達は、探しながら歩くスタッフの邪魔にならないよう、彼らが確認し終わった場所でじっとしていた。
 
 三人目は最初から室内には目をくれず、ホテルの回線にパソコンを繋いで、しきりにキーを叩いている。
 やがて、セキュリティソフトを見ていた彼が全員を呼び寄せた。
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