一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
『He's sending him the information he got in this room
(奴はこの部屋で得た情報を自分あてに送信している)

I wonder if he is in stock in the hideout
アジトにストックしているんだろう)』

『The security of this hotel is too sloppy
(このホテルのセキュリティは杜撰過ぎる)

Or does he manage the server?
(それとも奴は、サーバーを管理しているのか)』

 スタッフに聞かれてネイトが答えた。

『The lines in this room are built separately
(この部屋の回線は別個に構築されている)

Only the dedicated concierge is connected
(専用コンシェルジュのみ繋がっている)』
 
『Is that so
(そういうことか)』

 彼の背任行為は二年前から始まっているようだけど、盗聴器を取り付けたのはここ最近?
 どういうこと?

 企業と情報漏洩が、切っても切れない仲だとは知っている。

 製薬会社で言うと他社が開発している新薬の情報が喉から手が出るくらいに欲しい。
 開発側もわかっているから、オフィスに入る前に個人が持ち込もうとするものは徹底的にチェックされる。
 ましてや退出時の検査は、厳重をきわめる。
 ネットだって、逐一ログが監視されている。

 だがそれらは私にとって、あくまでも仕事上の話だった。
 それなのに顔を知っている他人が私生活を覗いている。
 おぞましさは、想像以上だった。

 ネイトはいつもこんな生活をしているの。
 ……彼に関わったら、私も?
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