一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 私がパニックしている理由がわかったようで、ネイトがにっこりと笑う。
 ……純金が太陽を浴びて輝いているような笑顔だけど、背中に悪寒が走る。

「アンテナやケーブル、サーバーの持ち主と仲が良くてね」
「……………………え?」

 どういうこと。

「まさか。クロフォード、あるいは製品名を送信された途端、瞬時にポジティブなものかネガティブなものかスーパーコンピュータが判断。ネイトたちが対処出来るまで、ネットが止まる、なんて……ねえ?」

 そんなハリウッド超大作の映画みたいなことが現実にあるわけがない。
 ネイトの瞳は雄弁な気がするけど、彼の唇が否定も肯定もしないのが、逆に。

 まさか。
 まさかまさか、そのまさかーっ!

「……………………それって、」

 サイバーテロを起こす側がすることではないの?
 いくら巨大企業とはいえ、一介の(わたくし)企業が、そんなこと出来るわけがないよね?

 お願いだから無理だと言って!

 ネイトの裸の胸に爪を突き立てんばかりにして、彼の目を凝視してしまった。
 私の希う気持ちが通じたのか、ネイトは私の腰を抱いて唇をついばみながら優しく言う。

「そうだね。そんなことは出来るはずがない。ラッキーだった」

 私にヒントを与えながら、私の予想に否定してみせる。

 ネイトのブルートパーズのような目が黒々としている気がするのは。
 運で語りきれない気がするのは、なぜだろう……。
 
< 135 / 224 >

この作品をシェア

pagetop