一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 ヘルガさんと彼のお父様が事実婚でありながら隠すのは、クロフォードを狙う輩から彼女を守るためだ。
 エリスさんは鉄壁の防御の中だけど、ヘルガさんは衆人環視のなか世界中で演奏している。

「That's it. Your lover will be targeted instead of Ms. Wurer
(そうだ。ミズ・ヴューラーの代わりに、君の恋人が狙われることになるぞ)』
 
 盗撮されていただけで、こんなに怖いのだ。
 これから狙われる続けるなんて、恐ろしくてたまらない。
 ……私だけではなく、家族が標的にされたら?

 ネイトが私の手をぎゅ、と握りこんだ。

「It's only after the security is in place that she's announced.
(彼女のことを公表するのは警備体制が整ってからだ)」

 セキュリティスタッフの、言い聞かせるような声が遠く聞こえる。

 でも、これからもネイトの隣でいたいなら、私も覚悟しなくちゃ。
 どうすればいい?
 誰がどちらに住む、という問題以前の話。
 私が『怖いから別れたい』といえば、ネイトはあっさり了承する。
 彼は遠い世界の人になり、注意深く私を避けて生きていくだろう。

 そんなの、イヤっ!
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