一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
「Wait a minute, I have to listen
(ちょっと待って、聞きずてならない)」

 私が毛布から出てくると、ネイトが慌てて被せてくる。
 なによ、いまさら!

「もうカメラないんでしょっ」
「問題はそこじゃない」
「ふーん、そう。どこにあるのよ」

 私がにらみつけると、ネイトはホールドアップした。

 スタッフの一人がノートパソコンを操作して、
【All of the invasion of the young emperor
(若き帝王の侵略の全て)】
という見出しのゴシップを見せてくれた。

 見たくもなかった画面は、ネイトが美女とデートしている写真だらけ。
 劇場に舞踏会にクルージング。
 赤毛に栗毛やブルネット、グラマーにスレンダー。
 欧米人やらアジア系やら。
 たまに同じ顔ぶれもあるようだけど。よくもまあ、とっかえひっかえ。
 悔しくなって、ネイトの脇腹を思いっきりつねる。

 ニヤリと笑うスタッフから渡された殴り書きのメモには
「They are all bodyguards
(彼女たちは皆、ボディガードだ)」
 と書いてあった。

 今度は私がネイトに両頬をつねられた。そのあと耳元でひめやかに日本語で言われた。

「僕とのキスで腫れぼったくなった唇。快感に泣いてしまった目。色っぽくて、もったいなくて晒したくない」

 熱を宿した瞳。
 低く掠れた声。
 私を組み敷いて、見下ろしてきたときと同じ。

「〜〜〜〜っ、ネイトの馬鹿っっ!!」

 なんで、そんな日本語は知ってるの?
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