一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
『私はミスター・クロフォードを尊敬していました。おこがましいですが、日本での秘書のつもりでいたのです。周囲にも自慢していました』

 コンシェルジュの仕事に誇りを持っているが、ネイトから引き抜きされれば、いつでも応じるつもりだった。

『それが裏切られた。よかれと思っての行動だったのに、ミスターは私に要らないと言われたんです。憎かった』

 ……うーん。
 私の名前を衆人環視のなか、大声で言っちゃうとか。
 ネイトの部屋に来たときの対応も、はっきり言って不愉快だった。

 熱心さが高じたあまりかもしれない。
 けれど同情出来ない、どうしても受けつけられない。
 ネイトも同じだったらしく、嫌悪の表情を浮かべている。

 そっか。
 あのとき『交換』と言ったのは、『コンシェルジュを替えて欲しい』ってことだったんだ。

 それに『警備体制』についての、ネイトのスタッフの言葉。
 クロフォードは昔も今も、紛争や貧困環境の地域に飛び込んでいく医療技術者たちを、バックアップし続けている。

 ……彼らの尊い行動が嬉しくない人たちもいるはず。
 まして、ネイトの周りには利益を得ようとしている人たちが群がる。
 彼をとりまく環境を考えると、自分がネイトと接触出来る立場だと吹聴しちゃうのはどうなんだろう。
< 151 / 224 >

この作品をシェア

pagetop