一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
「このあとはエステもある。時間がない、はやく取りかかりたまえ」
「〜〜〜〜っ、時間がないのは貴方がっ!」

『玲奈、疲れたろう? 朝食までそんなに時間はないけど少し休むぞ』

 言うなりスタッフが見ているのに、そのまま寝室へ運ばれた。
 玄関のドアが、私達に聞こえるようにわざと大きな音を立てて閉められる。
 ネイトは私にのしかかると、極上の笑みを浮かべた。

『子猫ちゃん、約束通り寝かつしけてあげるよ』
 ……なんてささやいたくせに、寝かせてくれなくて。
 なんだかんだされて、気絶するみたいに意識飛ばしたの、誰のせいだと! 

「僕が……なに?」

 宝石のような青い瞳が視野いっぱいに広がる。
 有無を言わさぬ強制力。
 笑いと艶を含んだ目。
 ああ、もうっ!

「…………いえ」

 ものすごーーく不本意だけど!
 でも悔しい。
 一矢報いたい。

「You are called a tyrant, right?
(暴君て仇名ですわね)」

 ふふん、と肩をそびやかせば。

「It's hard to hear. I'm called a dictator
(人聞きの悪い。せいぜい、独裁者だよ)」

 にいぃっこり、されてしまった。
 ううう、悔しい。勝てる気がしない。
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