一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
「では、胸下からの切り替えになっているのが特徴のエンパイアラインはいかがでしょう。直線的なラインですので、普段着るワンピースに一番近いドレスですわ」

「イメージじゃない」
 
 一言。
 スタイリストも気難しい客に慣れているのか、にこやかに切り口を変えてきた。

「生地はいかがいたしましょう」

 手にとって触らせてくれようとする。
 いいの?
 窺うようにネイトを見ると、深くうなずかれる。
 おずおずと手を伸ばした。

 ええと。 
 ミカドシルクにレースにサテン。シフォンに……チュール、オーガンジー。
 説明してもらったけれど、素晴らしい手触りにうっとりしているうちに訳がわからなくなった。

「み、ミスター……」

 ヘルプ、みぃぃぃーっ。
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