一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 今度はネイルをしてもらいながら、髪のセット。
 
「これからコンサートに行かれると伺っております。『楽な形にしてやってくれ』という指示でしたので」

 髪を巻いてから両サイドの髪を残し、後ろでまとめたあと、髪を引き出してふんわり。
 襟足のあたりでシニオンになった髪にヘアアクセサリーを挿してもらう。

 バスローブを脱いでようやく下着を身につける。
 うっとりするようなレースのタンガ、揃いのガーターがパールと同じ色なんて、どこまですごいの?
 ……シルクのストキッングを履いたあと、イヤーカフやイヤリングとブレスレットをつけてもらい、ドレスを着る。

 背中パックリ、後ろにあるボタンはヒップギリギリから始まるデザインだからブラジャーはつけられない。
 ドレスにカップが縫いつけられているそう。

 大きな姿見で確認して、我ながら目がまん丸くなる。

「美人……。さすがプロ! ありがとうございます」

 私が感極まってお礼を言ったら、にっこり微笑んでくれた。

「わたくしどもはなにも。素材がいいんですわ」
「お金を貯めて、またお世話になります!」
「お待ちしております」

 何十万コースじゃありませんように。

「お連れ様がお待ちかねでございます」

 ネイト。
 私史上、一番綺麗なの。
 気に入ってくれるかな?

 わくわくしながら、部屋の外に向かう。
 少し動くだけで、レースとアシンメトリーな裾がドラマチックな動きをする。
 ひらひらとたなびいて、お姫様になったみたい!
 真珠がアクセントになっていて、まるで自分自身が露を宿したカンパネルラか桔梗になった気分。
 ネイト、絶対に私のツボを知っている。
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