一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 先輩は働きながら学費を払っていた。そうでもしないと、先輩を休ませ、デートすることが出来なかった。
 ネイトの片眉があがる。

「君が。『多賀見の名を鼻にかけ、男を金で買ってる』と」

 前に言ってた、身上調査ね。

「先輩、実力があって誰にでも優しくて、人気者だったの。私が一人占めしちゃったから、多分」


『多賀見が金で先輩を買ったって、マジ?』
『マジ。玲奈なんて私より可愛くないし、才能もないくせに!』
『持つべきものは、金持ちの親だよねー』

 私に聞かせるための悪口だったけど平気だった。
 努力していたし、いずれ世界が私に平伏し、皆が私を認めざるを得ないと思っていた。


「その男とは?」
「……先輩が卒業して、それっきり」

 社会人になってから何人か付き合ったけど、ネイトのことを抜かしたら、先輩との恋を一番憶えてる。
 何年か前に学内SNSを見たら、外国で子連れの女性と歩いている、先輩らしき人を見かけたと書いてあった。
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