一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 幸せだといいな。
 そう思えるのは、私が大好きな人と恋人同士だからだ。
 私はネイトの手を握りしめた。彼が問うように見つめてくる。

「ネイト」
「うん?」
「私、貴方のおかげで幸せなの、ありがとう」

 ネイトは目を丸くし、私を見た。
 やがて、艶やかな笑みを浮かべてくれた。
 それから悪戯っ子のような表情になる。
 
「玲奈は賢いから、もっと適切なお礼の仕方を知っているね?」

 ちょん、と自分の指で唇を押さえてみせた。
 可愛い。
 キスしちゃいたくなる。

「だーめ。また流出しちゃったら大変」
「シールドグラスだが?」
「Nein」

 きっぱり断る。
 運転手さんがいなかったらなぁ……なんて考えたことは秘密。

「Meine zukünftige Frau kann nicht erwischt werden
(僕の未来の奥方はつれないな)」

 ネイトは大袈裟に肩をすくめてみせた。

「だが、ますます好きになった」

 やん。

 ……奥方。
 セキュリティチームのスタッフにも呼ばれた。
 遠くない未来に、私はネイトの奥さんと呼ばれる。
 問題は山積みだけど、一歩ずつ貴方に近づいていこう。

 ネイトが優しく手を差し伸べてくれ、エスコートしてくれる。
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