一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 ネイトの常宿に向かう車の中、私達はキスを交わす。
 初めてセッションした日も、私達は部屋に移動するのさえ時が惜しかった。
 
 ネイトの手が、私の裸の背中を彷徨う。
 彼の手が熱い。
 首の後ろの、ドレスのホックが外された。
ぱらりとドレスがはだける。
 彼のもう片方の手が私の胸のふくらみをすっぽり覆う。
 ネイトの口が、私のもう片方の胸のふくらみを咥えた。

「ネイ、ト……」
「玲奈」

 熱に浮かされた私の声に、ネイトが掠れた声で呼応する。
 ここがどことか。
 私達が誰とか。
 どうでもいい。
 ただ、この場で愛を交わしたい。

「……駄目っ」

 私はなんとか彼をおしのけた。
 車内はネイトの王国で、運転手はネイトが信頼しているセキュリティスタッフのメンバー。
 安心できる空間であっても恥ずかしい。
 ネイトを含めた欧米の人が、どれだけ公衆の面前で愛しあうのか知らない。
 でも、私は無理。
 だってお箸の国の人だもの。

 ネイトは身を起こすと、自分の髪に指を入れてグシャグシャと乱した。
 彼のドレスシャツもカマーバンドのあたりまでボタンが外れていて、分厚い胸が激しく上下しているのが見えた。

「……仕方ないな」

 ネイトがふううと、大きく息を吐き出した。

「貸しひとつだ、玲奈。今日は朝まで寝かさない」

 ブルートパーズの目がギラギラと黒く翳る。
 うなずくしか出来ない。
 私だって、抱かれたいんだもの。


 私達は翌朝近くまで愛し合った。
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