一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 キョロキョロ見回して、ヘリコプターの中のようだとあたりをつける。

 窓から外の景色に見惚れていたら、滑走路が広がった。
 え、もう成田? 空を行くと、こんなに早いの。
 ネイトを見たら羽田、と口の形が言っている。
 羽田?
 訳がわからない。
 羽田からアメリカ行きが飛び立つにしろ、空港までリムジンバスがあるのに、なんでまた。

 首を傾げているうちに、私達を乗せた機体はどんどん降下していく。
 回転翼が動きをとめた。
 ヘリコプターから降りるよう促されたけれど、ふらふらして歩けない。

 ネイトにひょいとお姫様だっこをされた。
 気がつけばリムジンが横付けにされている。
 私はネイトにかかえられたまま、車内に入った。
 
「ネイト」
「し」

 体感5分もしないうち、リムジンは飛行機の前に停まった。
 まごついていたら、再びネイトにかかえられてタラップを上った。
 ドアが閉められ、シートベルトで固定される。
 エンジンが起動する音のあと、飛行機がゆっくりと滑走路を滑りだした。
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