一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 軽い衝撃があり、機体が浮いた。
 シートベルトを外してよいとのアナウンスに、ようやく頭が回りはじめる。
 なにが起こっているのだろう。
 ホテルがテロリストに占拠される前情報でもあったのかな。
 まさか、ネイトを狙った犯行?

「うちはっ、多賀見は平気なの!」

 私がキッとみつめれば、ネイトはきょとんとした表情だった。

「多賀見の株は安定して、高水準で推移しているが?」

 違ーう!

「私達、どうして飛行機乗ってるの?」

 というよりは私が。
 ネイト、帰るんじゃないの?

 彼がにこりと笑う。

「それはね、プライベートジェットを買ったからなんだ」

 ぷっ、プライベートジェットを買ったぁ?
 なにを言ってるの、この人ぉーっ!

「ずっと購入を勧められてたんだけど、決心がつかなくてね。これからは、しょっちゅう使うことになりそうだから、買うことにしたんだ」
 
 それはよかったわね……ではなくて!

「もしかして、買ったから見せびらかしたかったの?」
 
 恐る恐る訊ねると、ネットは言いよどむ。

「理由も言わずに無理矢理連れてきて、悪かった。こうでもしないと、君は一緒に来てくれなさそうで……」
「どこに?」

 私はメラメラと怒りが燃えてくるの感じた。
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