一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
「……もしかして、アメリカにこのまま行くってこと?」
声が低くなる。
なんて勝手なことをするの?
恫喝するようににらめば、ネイトはやたらにきっぱりと言った。
「いや、オーストリアだ」
コアラがいる国ではなく、ヘルガさんが住んでいるウイーンの所在国だ。
けれど、とうのご本人はまだ日本で公演中。
オーストリアに、なにがあるの。
想定外の答えばかりで、意味が頭になかなか入ってこない。
「私の質問の仕方が悪かったわ。ネイト、私は行き先を訊いてるんじゃないの。なぜ、貴方と一緒に私が飛行機に乗っているのか、理由を教えて」
「玲奈が日本から離れたくないようだから」
……見抜かれてた。
お兄様を言い訳にして、私がアメリカに行く決心をつけずにいた。
だから、ネイトは言えなかったの?
でもね。
「そんなことで無理矢理、私を連れ出したの?」
「僕は君と出会うから、世界中を飛び回っている。僕にとって時差も距離も障害じゃないが、玲奈にとってはそうじゃないんだね?」
うなずくしか出来ない。
「僕だって本当は君とずっといたい。叶うことなら、このまま攫っていく。だけど、君は許してくれないだろう?」
涙があふれる。
「ご、めんなさい」
いいんだよ、と言うように彼の手が私の頬をつつんで落ちた涙を拭ってくれる。
声が低くなる。
なんて勝手なことをするの?
恫喝するようににらめば、ネイトはやたらにきっぱりと言った。
「いや、オーストリアだ」
コアラがいる国ではなく、ヘルガさんが住んでいるウイーンの所在国だ。
けれど、とうのご本人はまだ日本で公演中。
オーストリアに、なにがあるの。
想定外の答えばかりで、意味が頭になかなか入ってこない。
「私の質問の仕方が悪かったわ。ネイト、私は行き先を訊いてるんじゃないの。なぜ、貴方と一緒に私が飛行機に乗っているのか、理由を教えて」
「玲奈が日本から離れたくないようだから」
……見抜かれてた。
お兄様を言い訳にして、私がアメリカに行く決心をつけずにいた。
だから、ネイトは言えなかったの?
でもね。
「そんなことで無理矢理、私を連れ出したの?」
「僕は君と出会うから、世界中を飛び回っている。僕にとって時差も距離も障害じゃないが、玲奈にとってはそうじゃないんだね?」
うなずくしか出来ない。
「僕だって本当は君とずっといたい。叶うことなら、このまま攫っていく。だけど、君は許してくれないだろう?」
涙があふれる。
「ご、めんなさい」
いいんだよ、と言うように彼の手が私の頬をつつんで落ちた涙を拭ってくれる。