一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 ようやく理解が追いついてきたら、お腹がすいていることに気がついた。
 続きは、ネイトと朝ごはんを食べながら話すことにする。
 スタッフには、飛行機に搭乗しているシェフの手による食事が出されているとのこと。
 空の上で調理! すごすぎる。

「警備の点や医療態勢からいっても、エリスはクロフォード邸から動かせない。だから、穣も日本には帰らないだろう」

 予想していたので、うなずく。
 ネイトが悪戯っ子のような笑顔になった。

「ここでプライベート・ジェットの出番だ。穣は社長になったら、あるいは日本に用事があるときにはL.A.からCommuting」
 
 出勤て日本語がわからなかったんだろうな。
 え。

「お兄様に貸してくれるの?」
「勿論」

 プライベートジェットのデメリットは、なんといってもコスト。
 あとは日本で言うと、大都市近くの空港にすら着陸スペースがない可能性がある。
 それらをクリア出来れば、メリットは多いとネイトは言う。

 近年、成田や羽田は受け入れ態勢を整えつつあるし、ネイトは発着可能な空港にヘリコプターを待機させておくことも検討しているという。

「さっきみたいに?」
「そう」

 プライベート空間の確立で、機内で会議もできちゃう。
 なんといっても、時間の有効活用。
 定期便が就航していない地域でも直接フライトができるから、複数の都市を効率的に動ける。移動時間の短縮が可能になる。

「そうね」

 また、搭乗手続きや手荷物検査、セキュリティーチェックという面倒なことを手早く済ませられることも魅力的。

 手続きが簡略化したとはいえ、私は出発前の最低一時間前には終わらせて、待ち合いロビーでゆったりしたい派。
 プライベート・ジェットのさくさく手続きを経験してしまうと、少なくともビジネスクラスでないと苦痛になってしまう人もいるみたい。

「これで問題が一つ解決」

 ネイトが指を一本立てる。
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