一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
従姉の縁談に暗躍しちゃう?!
あっちゃあ〜……。
子供その一と子供その三が片付いて、多賀見の娘同然、私の姉に等しい子供そのニに家族の関心が移っていたけれど。
よりによってひかるちゃんの初お見合いの相手を、エスタークホテルチェーンのCEOに決めちゃう?
*****
お兄様がエリスさんと、そして私がネイトと事実婚のような関係になってから、【ひかるちゃんに生涯の伴侶を見つけてあげよう会】を発足した多賀見家。
私も、ひかるちゃんがバカ男と別れて以来、庭一筋だからそろそろ恋人作っていいんじゃない?派ではある。
「玲奈、ひかるちゃんをお見合いに誘き出しに成功したのね、流石だわ!」
お母様。
ちょっと犯罪ちっくです。
まあ、罠にはめたのは私だけど。
「庭園なら、ひかるは疑わないわね」
お祖母様まで。
念のため聞いてみれば、これから相手を探すのだという。
えー、計画がずさん過ぎない?
お父様達はああでもない、こうでもないと議論しはじめた。
「三人とも! ひかるちゃんが気に入らなければだめなのよ? それに相手がひかるちゃんのバックにいる、多賀見目当てだったらどうするの!」
「うーん、そうだねぇ。じゃあ、ウチよりちょっとお金持ちにするかな。ひかるを見れば、大抵の男は気に入ってしまうしね」
「毅彦。この際、伯父の欲目はおいておきなさい。どなたか、ひかるに相応しい方はいらっしゃるかしら」
「お義母様、沢山いらっしゃると思いますよ。問題はお相手の方が、ひかるちゃんに庭師を続けさせてくれるかでしょうね」
「……ん? 隠岐 護孝氏からメールが届いているな」
お き も り た か
ちょっと待って。
最近、ものすごーく聞く名前じゃない?
「……って誰だっけ?」
うーん、と私は頭を抱え込む。
「半年前に話題になった『外部資産投入時の地域活性論』か、三年前にエスタークホテルチェーンのCEOになった、て記事だろう」
あーっ。
「それだ!」
ネイトの商談相手!
常宿を買っちゃうついでに、ホテル経営に乗り出そうとしてて、業務提携を交渉中の人だ!
最近、ネイトとストリートピアノキャラバンを計画してて、ホテル買収については話題にならなかったから、記憶の奥に押しやってた。
「……その隠岐氏がなんで、お父様に連絡してくるの?」
よ、よりによって、なんで我が家にオファー?
どうしよう。
ネイトから内緒の話と言われているから、ホテル買収の話は家族にもしていない。
私との見合いとかだったら、ものすごく困る。
ネイトは結構、嫉妬深い。
ヤキモチ焼いてもらえるのは嬉しいけれど、断っても縁談自体が彼の耳に入ったら。隠岐氏との商談が、二人の最終戦争になってしまう。
「多賀見家専属の造園師である『光』氏に、隠岐家が立ち上げるプロジェクトへの参加要請の件とある。律儀な男だな、三ツ森造園事務所にオファーする前にウチにお伺いを立ててきたらしい」
ほ。
意外。エスタークのCEOはお庭に関心のある人なのか。色々とやってるのね。
「……あら、いい男」
タブレットに見入っているお祖母様の言葉に、初めて隠岐氏に興味を持った。
私はネイトのホテル事業については関わらないようにしていたから、隠岐氏については不勉強だった。
いくつかしら。
ナイスミドルなおじ様かな?
お祖母様の操作していたタブレットをのぞきこんで思わず声を漏らした。
「うわあ、イケメン…」
ネイトが西洋の王子なら、隠岐さんは東洋の若殿だった。
年もひかるちゃんと5歳差。
釣り合いは取れてる、けど。
「ひかるの見合い相手を探すときに、タイミングいい方ね。いっそのこと、その方にお見合いを申し込んだらどうかしら」
お祖母様の一言に、ぎょっとなる。
「待って、お祖母様、ちょっとハードルが高すぎない? ひかるちゃん、リハビリ第一戦目なんだけど!」
記事によると。
秀麗なマスク、スポーツマンらしい体型に、才能・権力・血筋を兼ね備えているので摘まれたがっている花が束になっているのだという。
そんな花束を持っている人に、ひかるちゃんがメロメロになった挙句、振られてしまったら!
……もしかしたら彼も、ネイトみたいに女性のボディーガードを連れてるだけなの?
ゴシップ記事の相手はそんな風には見えないけど。
おまけにCEOになって三年目なんて、仕事が大変あるいは充実しているときだろう。
家庭を顧みる時間は取れないのではないだろうか。
結婚しても、ひかるちゃんが不幸では意味がないのだ。
しかも、隠岐氏は旧財閥の外戚。
はっきり言って、あちらが富士山、うちは関東平野くらいの標高差がある。
どうしよう、ひかるちゃんがいじめられたら!
心配をよそに、三人は隠岐氏をひかるちゃんの見合い相手に定めてしまった。
どうやって隠岐氏を見合いの場に引っ張り出すかは、お父様の手腕にかかっている。
けれど、悪い笑みを浮かべてるから秘策があるんだろう。
……………………ウン。
私は、ひかるちゃんを全力でサポートしよう。
「私、あそこの屋上庭園、貸し切りを申し込んでくる!」
誰もいないほうがいいよね。
隠岐氏を見てキャアキャア言う女性がいたら、ひかるちゃんは逃げてしまうだろう。
庭にいるひかるちゃんは妖精みたいで素敵だ。
元がいいんだから、多賀見の総力をもってさらに磨きあげるわ!
……しかし。
ひかるちゃんと隠岐氏の縁談のこと。
ネイトには、なんて言えばいいの?
子供その一と子供その三が片付いて、多賀見の娘同然、私の姉に等しい子供そのニに家族の関心が移っていたけれど。
よりによってひかるちゃんの初お見合いの相手を、エスタークホテルチェーンのCEOに決めちゃう?
*****
お兄様がエリスさんと、そして私がネイトと事実婚のような関係になってから、【ひかるちゃんに生涯の伴侶を見つけてあげよう会】を発足した多賀見家。
私も、ひかるちゃんがバカ男と別れて以来、庭一筋だからそろそろ恋人作っていいんじゃない?派ではある。
「玲奈、ひかるちゃんをお見合いに誘き出しに成功したのね、流石だわ!」
お母様。
ちょっと犯罪ちっくです。
まあ、罠にはめたのは私だけど。
「庭園なら、ひかるは疑わないわね」
お祖母様まで。
念のため聞いてみれば、これから相手を探すのだという。
えー、計画がずさん過ぎない?
お父様達はああでもない、こうでもないと議論しはじめた。
「三人とも! ひかるちゃんが気に入らなければだめなのよ? それに相手がひかるちゃんのバックにいる、多賀見目当てだったらどうするの!」
「うーん、そうだねぇ。じゃあ、ウチよりちょっとお金持ちにするかな。ひかるを見れば、大抵の男は気に入ってしまうしね」
「毅彦。この際、伯父の欲目はおいておきなさい。どなたか、ひかるに相応しい方はいらっしゃるかしら」
「お義母様、沢山いらっしゃると思いますよ。問題はお相手の方が、ひかるちゃんに庭師を続けさせてくれるかでしょうね」
「……ん? 隠岐 護孝氏からメールが届いているな」
お き も り た か
ちょっと待って。
最近、ものすごーく聞く名前じゃない?
「……って誰だっけ?」
うーん、と私は頭を抱え込む。
「半年前に話題になった『外部資産投入時の地域活性論』か、三年前にエスタークホテルチェーンのCEOになった、て記事だろう」
あーっ。
「それだ!」
ネイトの商談相手!
常宿を買っちゃうついでに、ホテル経営に乗り出そうとしてて、業務提携を交渉中の人だ!
最近、ネイトとストリートピアノキャラバンを計画してて、ホテル買収については話題にならなかったから、記憶の奥に押しやってた。
「……その隠岐氏がなんで、お父様に連絡してくるの?」
よ、よりによって、なんで我が家にオファー?
どうしよう。
ネイトから内緒の話と言われているから、ホテル買収の話は家族にもしていない。
私との見合いとかだったら、ものすごく困る。
ネイトは結構、嫉妬深い。
ヤキモチ焼いてもらえるのは嬉しいけれど、断っても縁談自体が彼の耳に入ったら。隠岐氏との商談が、二人の最終戦争になってしまう。
「多賀見家専属の造園師である『光』氏に、隠岐家が立ち上げるプロジェクトへの参加要請の件とある。律儀な男だな、三ツ森造園事務所にオファーする前にウチにお伺いを立ててきたらしい」
ほ。
意外。エスタークのCEOはお庭に関心のある人なのか。色々とやってるのね。
「……あら、いい男」
タブレットに見入っているお祖母様の言葉に、初めて隠岐氏に興味を持った。
私はネイトのホテル事業については関わらないようにしていたから、隠岐氏については不勉強だった。
いくつかしら。
ナイスミドルなおじ様かな?
お祖母様の操作していたタブレットをのぞきこんで思わず声を漏らした。
「うわあ、イケメン…」
ネイトが西洋の王子なら、隠岐さんは東洋の若殿だった。
年もひかるちゃんと5歳差。
釣り合いは取れてる、けど。
「ひかるの見合い相手を探すときに、タイミングいい方ね。いっそのこと、その方にお見合いを申し込んだらどうかしら」
お祖母様の一言に、ぎょっとなる。
「待って、お祖母様、ちょっとハードルが高すぎない? ひかるちゃん、リハビリ第一戦目なんだけど!」
記事によると。
秀麗なマスク、スポーツマンらしい体型に、才能・権力・血筋を兼ね備えているので摘まれたがっている花が束になっているのだという。
そんな花束を持っている人に、ひかるちゃんがメロメロになった挙句、振られてしまったら!
……もしかしたら彼も、ネイトみたいに女性のボディーガードを連れてるだけなの?
ゴシップ記事の相手はそんな風には見えないけど。
おまけにCEOになって三年目なんて、仕事が大変あるいは充実しているときだろう。
家庭を顧みる時間は取れないのではないだろうか。
結婚しても、ひかるちゃんが不幸では意味がないのだ。
しかも、隠岐氏は旧財閥の外戚。
はっきり言って、あちらが富士山、うちは関東平野くらいの標高差がある。
どうしよう、ひかるちゃんがいじめられたら!
心配をよそに、三人は隠岐氏をひかるちゃんの見合い相手に定めてしまった。
どうやって隠岐氏を見合いの場に引っ張り出すかは、お父様の手腕にかかっている。
けれど、悪い笑みを浮かべてるから秘策があるんだろう。
……………………ウン。
私は、ひかるちゃんを全力でサポートしよう。
「私、あそこの屋上庭園、貸し切りを申し込んでくる!」
誰もいないほうがいいよね。
隠岐氏を見てキャアキャア言う女性がいたら、ひかるちゃんは逃げてしまうだろう。
庭にいるひかるちゃんは妖精みたいで素敵だ。
元がいいんだから、多賀見の総力をもってさらに磨きあげるわ!
……しかし。
ひかるちゃんと隠岐氏の縁談のこと。
ネイトには、なんて言えばいいの?