一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 音で伝えてみれば、応えてくる。

 僕達は愛を交わした。
 服を着ているときには、気が強そうで理知的。
 なのにベッドの中の彼女は従順なようで、奔放。
 まるで僕を誘惑にしにきた小悪魔のようで、完全に溺れた。
 ……いや。
 セッションのときから既に堕とされていたのだろう。

「君みたいな女性(ひと)と一生暮らせたら、エキサイティングだろうね」
「え……っ?」

 僕の律動を受け止めるのに精一杯みたいで、聞こえてなかったみたいだ。
 彼女の頭を抱えこんでささやいた。 

「朝、もう一度君に告げるよ。今は僕を感じていればいい」
 
 玲奈は可愛い顔をしかめた。 
 
「指輪を外して」
 
 僕が彼女を揺さぶるたびに、当たっていたらしい。
 眉をしかめているのが、感極まってじゃないのが残念だ。
 
「いいよ」
 
 明日。君に膝まづいて、あらためて薬指に嵌めてあげよう。
 
 出会ってから数時間だが、早計とは思わなかった。
 明日、君はどんな表情を見せてくれるだろうか。
 愛おしい(ひと)、楽しみだ。
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