一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
秘書業開始?
「音楽大学を卒業したあとのパフォーマンスかと考えたが、そうではなかったか」
 
 ネイトが不意ににこりと笑った。
 やめて、可愛いと思ってしまうじゃない。
 この人は、多賀見を喰らい尽くそうとしているハゲタカなのに。

 一転して真面目な表情でネイトは切り出してきた。

「君の見解を知りたい」
「私の?」
「ああ。君が薬学のスペシャリストではないことはわかっているが、独自の視点で見てほしい」
 
 真っ直ぐな視線で見つめられた。
 試されている。
 この人には及ばないだろうけど、私だって日々学んで過ごしてる。

「まずは合わなかった人たちの具体的な特徴を聞いて……、比較しなければならない条件はどれくらいあるかしら」

 私は指を折って項目をあげ始めた。
 分析専門の人からすれば幼稚園レベルかもしれないけれど、背伸びしすぎないと決めている。
 だからって私は、私だし。
 人間として未完成品でも、キャリアが未熟という理由で尻込みはしない。
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