一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 地雷なのはわかる。
 そこまで疑ってしまうと、誰も信じられなくなるし。
 でも、既に検証を行っているなら、多分私が考えついた項目くらいデータをとっているだろう。
 それならあとは、ネイトへの背信くらいじゃない?
 
「ミスターは私に、『今までない視点で』とおっしゃいました」
 
 私が怯まずに見返せば、ネイトは皮肉げな笑みを浮かべた。
 
「……流石。クロフォードとの提携を得るために体を張る女スパイは違うな」
 
 違うのに!
 どうすれば偶然だったってわかってくれるの?
 ああ、もう!
 私の悪い癖が出る。
 
「ミスターがそう思ってらっしゃるなら、スパイで結構です!」
 
 わかってくれないなら、わかってくれなくていい。
 悲しいのと悔しさから私は強く言い切ってしまった。

 気まずい雰囲気のなか、インターフォンが鳴る。立ち上がりかけると、指で静止された。
 ネイトは自身の端末でなにか操作した。

「僕だ。今開ける」

 ネイトが歩いていく。どうやら自分で迎えにいくらしい。
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