一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 待つほどもなく、インターフォンが鳴る。
 ネイトは今度は画面を確認しただけで迎えにいかず、ドアのロックを解除した。
 ガラガラとキャスターを転がす音が近づいてくる。

 部屋の中に現れたのは、ハンガーラックにずらりと吊るされた女物のスーツ。
 ネイトは無造作に手にとると私に当ててきた。うなずいては次のスーツを私に押し付けてくる。
 ネイトが合格させたらしいスーツに合わせてーーおそらくスタイリストらしきーースタッフが、どんどん小物をコーディネートしていく。

「あの……?」

 なにが起こっているの。

「着替えたまえ」

 有無を言わずにそのうちの一着を持たされて、扉を指し示された。
 スーツだけ持って歩きかけたら「忘れ物だ」と背中に声がかかる。
 あごで示されたソファには、恐ろしく高級そうなランジェリー。
 トータル何万、ううん下手するとニ桁万円コース。

「こ、これ。もしかして私に身につけろってこと?」
 
 違うと言って!

「そうだが?」

 冷たい目に見据えられ逆らうことが出来なくて、下着とスーツを持って指示されたドアを開けた。
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