一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
「なんの?」
「この、ファッションショーの代金です」
「ボーナスと言ったはずだが」

 こっこの、洋服屋が開店できそうな山ぜんぶがボーナス?

「僕から秘書への支給品だ」
「な、なんで?」
「慣れるんだな。これがウィリアム・クロフォードだ」
「ミスター……」

 頭痛がしそう。
 どの世界に、大嫌いな女にこれほどのボーナスを与えるCEOがいるんだろう。……目の前にいるけど。

「家に帰らせない超過勤務分も含まれていると思えばいい」

 そんなものかなー……。
 百歩譲って、泊まり込みは機密保持のためだとしても。
 着替えを持ってくるぐらい、帰宅を許してくれればいいんじゃないのかな。

 いいや、考えるのやめよう!
 私は一人脳内会議をしていたので、ネイトのつぶやきは聞き取れなかった。

「Ich mag nicht einmal eine Frau, die ich hasse
(僕だって嫌いな女にここまでしない)」
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