癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
そして、そっと矢を地面に置き、被っているフードをめくった。
両手を組み、

「天に御座します光の神よ。我に癒しの力を与えたまえ。」

と唱えると、私の両手が光の玉で包まれる。その光の玉を男性の肩の傷にそっと当てる。

光の玉は男性の肩の傷にすうっと吸い込まれていった。光の玉と共に肩の傷はみるみるうちに塞がれていった。そして矢が刺さっていたと思えないくらいきれいになっていた。

男の目がゆっくりと開いた。

それを見て私は

「よかった」

と言ってその場を立ち去ろう腰を浮かすと、男性にそっと腕を掴まれた。

「ありがとう。俺はロエル。君の名前を教えてくれないか?」

開いた彼の目は美しい深い青い色で、優しい眼差しで見つめられ、私は固まってしまった。傷を治すことに必死で彼の整った美しい顔立ちに今気づいた。

「ロエル様ー!!」

馬の蹄の音と人の声にハッとし、

「ソフィアです。さよなら。」

と言って、彼の手をほどき、私は走って森の奥に逃げ込んだ。

















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