【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
遼雅さんの熱に触れたら、使い物にならない。

あれはだめだ。だめだ。

ただそれだけがよくわかっていて、必死で遼雅さんの指を握りしめている。

どうやっても離れられないから気づいてほしくて握っているのに、上から覗き込む人は至極嬉しそうに笑って、とまってくれない。


「ぎゅうってして、かわいい」

「ん、ち、ちがう、やめてく、ださ……っ」

「うん? 柚葉さんも約束、守ってくれなかったのに?」

「あ、ごめんなさ、い……、ねむ、くて」


咎めているのか、それとも遊んでいるのか、わからないようなトーンで囁いていた。

笑い声が聞こえる。

喉の奥でくつくつと笑って、楽しんでいるようだった。あまやかされているのか、それとも違う何かなのか、わからない。

目が合ったら、うつくしい瞳がやわく眇められた。


「――じゃあ、今は眠くないから、付き合ってくれる?」


何回目のキスだろうか。

かわいいふれあいのように擦らせて、私の反応を見つめている。

頷いたら、今すぐ溺れてしまえる。

きっとたくさん抱きしめてもらえる。遼雅さんの一番近くにいることを実感できる。全部がすきなものでいっぱいになる。

正気でいられる自信がない。

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