【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

くすくすと笑って、私の頬を撫でてくれている。

遼雅さんは食べたくなくても、いろいろなところで接待が生じてしまう人だ。腹ペコなんて想像ができなくて、つい笑ってしまった。


「ふふ、腹ペコなこと、あったんですか? じゃあ、夜ご飯はもっと頑張らないと」


気の抜けたような笑い声が響いている。

私の顔を見て、遼雅さんはどこまでもあまい瞳をしてくれる。「ゆずは」と呼んで、丁寧に唇に、遼雅さんのものを触れさせてくれた。すぐ近くで声が響く。


「俺がたべたいのは、いつもかわいい奥さんなんだけどな」

「な、にを」

「気づいてなかったの? 柚葉さん不足で、ふらふらだよ」

「ふら、ふら」

「あはは、そう。一番たべたいもの、ずっと我慢してるんだ」


すこしも話題なんて、逸らせていない。

狼狽《ろうばい》した私を見て、もう一度笑っていた。あまい人。やさしい人。でも、すこし困らせてくる人。


「いつならいいのか、考えてくれた?」

「あ、え、ええと」


そらさせないように私のあごに触れた指先で、やわく下唇をなぞってくる。まるで見定められているみたいだ。おかしな感覚だと思う。


「旦那さんはもう、腹ペコです」


わざと足を私の両足の間に挟んで滑らせてくる。反応を楽しまれているとわかっても、どうにもできないから困りきっていた。


「柚葉さんは、たすけてくれないですか?」

「た、すけるって……」

「かわいい」

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