【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
くらくらする。
朝からすこしも手加減してくれなくて、「どうですか?」と耳元に囁かれたら、慌てて遼雅さんの口を手で塞いだ。そうすると、遼雅さんがすこしだけ待ってくれることを知っている。
「りょうがさん、は、今すっごく、いそがしいですよね?」
つぶやいたら、口を塞がれた遼雅さんがやさしく微笑んでいるのが見えた。その顔に本当に弱い。
「だ、から、だめです。夜も遅いのに……」
言い切って見つめたら、なおも笑っている遼雅さんが、口を塞いでいる私の手を取ってしまった。
いつも、簡単に負けてしまうと思う。
遼雅さんは男性で、力でかなうはずもない。それなのに一度はとまってくれるから、胸がしびれてとまらない。
「じゃあ、朝ならいいですか」
「それは、もっと、だめです」
「どうして?」
「だって、いや、だめです」
「理由を教えて」
すこしも引き下がってくれない。
理由くらい、絶対にわかっているはずだ。
遼雅さんの熱に触れたら、ほとんど意識を保っていられなくなる。恨めしい気分だけれど、もう一度足に遼雅さんの爪先が触れたら、あっけなく口から飛び出してしまった。