【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
10分なんて、すぐに過ぎてしまう。
ちらりとデスクに置かれている時計を見ようとしたら、意図に気づいたらしい人が、片手で時計を倒してしまった。
倒した手から辿るように遼雅さんの瞳に視線を戻して、あつく潤んだ熱に胸がほどけてしまう。
「りょ、う」
「もう、すこしだけ」
囁くまま、否定もさせてくれない熱が唇に触れる。可愛らしい音を立てたかと思えば、簡単に舌を割り入れてきて、下唇を舐めたり、齧ったりしている。
すこしも止まらなさそうな唇にくらりと参って、そのままあごから首筋に唇を寄せられたら、耐えられずに声が漏れた。
「かい、しゃ」
「うん」
「……っだめ、です、ん」
一向にやまないペースで、息がもつれる。抗議した私の指先を掴んだ王子様が、笑って提案してくれる。
「ゆずは」
「つづきは、今夜ベッドで」
「俺の機嫌直すの、手伝ってください」
危険な王子が恭しく口づける薬指に、逃げる場所すら浮かばない。
「本当、かわいい。俺の奥さん」
最後にぴったりと身体を結ぶように、あまくやさしく抱きしめられたら、指先なんて、ただずっとあついまま、痺れ続けてしまう気がする。
橘遼雅は悪い人です。