【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
ゆっくりと押し込まれて、あまい味が口いっぱいに広がった。
あまいものは大好きだ。
頬が緩んで、すぐ目の前で見つめてくる遼雅さんに、正直に告げていた。
「それはよかった」
ふ、と笑って、もうひと掬い差し出される。
自分が食べているわけでもないのに、とろけてしまいそうなあまい瞳で見つめられて、こころがぞわぞわと落ち着かない。
いくつも口に入れられて、とうとうあまさに胸が詰まってしまった。
「りょ、がさん」
「うん?」
「私ばっかり……、遼雅さんも、たべてください」
遼雅さんのあまさで酔ってしまった。
続けられるとおかしくなってしまいそうで、必死で声をあげた。プレートに残るケーキは、あとほんの4口分くらいだろうか。
遼雅さんが握っているフォークの柄をやんわりと引き抜いて、すこし大きめにカットしたものを差し出す。
「はい、おくち、あーって、してください」
自分で言いながら差し出して、ぴしりと固まってしまった。
あまさに酔って、何か変なことを言ってしまった気がする。
いつも姉がそうしてくれていたのだけれど、それを家族以外にするのはおかしい、と壮亮に言われたことがあった。
「あ、いえ、まちがえ……」
訂正しかけて、フォークを掴んでいた指先ごと引き寄せられる。