【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

「ケーキ、これで最後だよ。ほら、口開けて?」


どこまでもあまく笑って、クリームがたっぷり乗せられた大きなかけらのケーキを差し出してくる。

遼雅さんは、空になったプレートを目視せずにテーブルに置いて、もう一歩こちらに詰め寄ってくる。

ほとんど私の体に跨るような形で迫って、首をかしげていた。

とても一口ではおさまらなさそうだ。

思っているのに、遼雅さんの瞳を見つめたら、逆らうことを忘れておずおずと口を開いていた。


「ん、」


やさしく押し込まれて、口に入りきらなかったクリームが唇の端から、顎に流れる。

すぐに手で拭おうとして、そのままソファに倒れ込んだ。


「ん、ぅ……!」


なぞるように舐めとられる。まるで、私がこぼしてしまうことを知っていたみたいに、用意周到に体を押し倒していた。

うなじに触れる指が弄るように熱を擦り付けて、首筋に吸い付いてくる。

触れられる首筋がぴりぴりとしびれていた。口に入っているケーキを何とか飲み込んで、混乱するまま声をあげる。


「りょうが、さん、そこは、ケーキついて、なっ……」

「うん?」

「も、いい、ですからっ……!」

「こんなに、あまいのに?」


唇が、首筋から鎖骨をなぞる。吸い付いたり舐めたり、遊ぶように噛んでいる。

< 156 / 354 >

この作品をシェア

pagetop