【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「ケーキ、これで最後だよ。ほら、口開けて?」
どこまでもあまく笑って、クリームがたっぷり乗せられた大きなかけらのケーキを差し出してくる。
遼雅さんは、空になったプレートを目視せずにテーブルに置いて、もう一歩こちらに詰め寄ってくる。
ほとんど私の体に跨るような形で迫って、首をかしげていた。
とても一口ではおさまらなさそうだ。
思っているのに、遼雅さんの瞳を見つめたら、逆らうことを忘れておずおずと口を開いていた。
「ん、」
やさしく押し込まれて、口に入りきらなかったクリームが唇の端から、顎に流れる。
すぐに手で拭おうとして、そのままソファに倒れ込んだ。
「ん、ぅ……!」
なぞるように舐めとられる。まるで、私がこぼしてしまうことを知っていたみたいに、用意周到に体を押し倒していた。
うなじに触れる指が弄るように熱を擦り付けて、首筋に吸い付いてくる。
触れられる首筋がぴりぴりとしびれていた。口に入っているケーキを何とか飲み込んで、混乱するまま声をあげる。
「りょうが、さん、そこは、ケーキついて、なっ……」
「うん?」
「も、いい、ですからっ……!」
「こんなに、あまいのに?」
唇が、首筋から鎖骨をなぞる。吸い付いたり舐めたり、遊ぶように噛んでいる。