【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
丁寧に言葉を返して、専務の後に続くように役員室に入った。
デスクへと歩いていく専務とは別に、ソファへと歩く。
コーヒーカップの中身は、綺麗になくなっていた。
安西社長はクリープを2つ使ったようだ。それとなく頭に記憶して、カップをそっと重ねる。
「柚葉さん」
丁寧に作業していたからか、不意打ちで呼ばれた気分だ。肩が上ずって、かちゃりと大げさな音が鳴った。振り返って、すぐ近くに遼雅さんが立っているのが見える。
「は、い?」
「今日もかわいいですね」
「は、い……?」
随分と唐突で、気の抜けたような返事になってしまった。私の顔を見て、遼雅さんは笑っている。
からかわれたのだろうか。考えているうちにもう一歩近づいて、いつものように頬に手を添えられる。
やさしい熱に触れられたら、何一つ言葉を紡げなくなってしまった。
「こんなにもかわいいのに、どうして驚いていたのかなって」
「ええ?」
「さっき、すごく驚いた様子だったけど、俺としては柚葉さんはずっとかわいいから、そう思っていることがまだ伝わっていないかなと心配になりました」
遼雅さんがたっぷりとあまやかしてくれるから、「かわいい」という砂糖菓子のようなあまい言葉は、つねに耳元に住み着くようになってしまった。
あまく囁かれたら、思わず胸をおさえたくなってしまう。
やさしい声色でこころに、反響し続けていると思う。
「遼雅さんのかわいいの判定は、すごく不思議で……、よくわからない、んです」
デスクへと歩いていく専務とは別に、ソファへと歩く。
コーヒーカップの中身は、綺麗になくなっていた。
安西社長はクリープを2つ使ったようだ。それとなく頭に記憶して、カップをそっと重ねる。
「柚葉さん」
丁寧に作業していたからか、不意打ちで呼ばれた気分だ。肩が上ずって、かちゃりと大げさな音が鳴った。振り返って、すぐ近くに遼雅さんが立っているのが見える。
「は、い?」
「今日もかわいいですね」
「は、い……?」
随分と唐突で、気の抜けたような返事になってしまった。私の顔を見て、遼雅さんは笑っている。
からかわれたのだろうか。考えているうちにもう一歩近づいて、いつものように頬に手を添えられる。
やさしい熱に触れられたら、何一つ言葉を紡げなくなってしまった。
「こんなにもかわいいのに、どうして驚いていたのかなって」
「ええ?」
「さっき、すごく驚いた様子だったけど、俺としては柚葉さんはずっとかわいいから、そう思っていることがまだ伝わっていないかなと心配になりました」
遼雅さんがたっぷりとあまやかしてくれるから、「かわいい」という砂糖菓子のようなあまい言葉は、つねに耳元に住み着くようになってしまった。
あまく囁かれたら、思わず胸をおさえたくなってしまう。
やさしい声色でこころに、反響し続けていると思う。
「遼雅さんのかわいいの判定は、すごく不思議で……、よくわからない、んです」