【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「そう? もっと細かく説明しようか?」
「せつめい、ですか?」
「例えば瞳が震えてかわいらしいとか、困ると声に詰まってかわいい音が出るとか、脚を爪先でなぞったら……」
「や、やめてください! だいたい、遼雅さんだって!」
「ははは、うん? 俺がどうかしましたか?」
今度こそ本当にからかわれていたみたいだ。やわく頬を撫でてくる遼雅さんの手首を掴んで、むっと睨んでみる。
それさえもかわいいと言ってしまいそうな瞳だ。
どうにか仕返しをしたい。唐突に思いつくまま、口を開いた。
「嫉妬しないんじゃなくて、とっても信頼しているんです」
「……うん?」
「遼雅さんがどれだけ頑張っているか、知っています。だから、どんなにお帰りが遅くても、さみしいなんて言わないだけです」
思った通りに口に出して、今更とんでもなく告白じみているような気がしてしまった。遼雅さんがすこし目をまるくしてから、まなじりをやさしく緩ませたのが見えた。
「さみしいと思ってくれているんですか」
本当に、墓穴を掘ってしまったような気持ちだ。
どう考えても筒抜けで、今更訂正のしようもない。面倒だろうから言わないでおこうと思っていたのに、ぽろりと出てしまった。
あきらかに、遼雅さんにあまえている証拠だ。
「あ、ええと……、その」
「柚葉さん」
名前を呼ばれるだけなのに、抗いがたい感触がある。答えを促すやさしい音で、観念してしまった。
さみしいのは、遼雅さんの熱を覚え始めてしまっている証拠だろう。
「さみしいかもしれないですけど……。毎日抱きしめて眠ってくれるから、大丈夫なんです。朝、一緒にご飯を食べられるだけでも、たくさん元気をもらっています」