【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「ばれない、ですか?」
正直に言うなら、遼雅さんのそばにいたい。
遼雅さんと一緒にいられる時間はすきだし、渡部長に怯えながら鍵をかけて一人でご飯を食べている時間はすこしさみしい気がしていた。
すべて、気づかれてしまっていたのかもしれない。
また、自分がしたいことのように提案されてしまっていることに気づいた。
「うん。大丈夫だよ」
自信たっぷりの遼雅さんが「俺に任せて」と囁いて私の頭を撫でてくれる。
誰よりも頼りにしている。
同じ分だけ返せたらいいのに、遼雅さんの完璧な準備の前では、何一つ同じように返せたためしがない。
あまい瞳を見ているだけで、胸がむずむずと落ち着かなくなる。
耐え切れずに遼雅さんの胸に飛び込んで額を押し付けたら、いつものやさしい腕に抱き留められてしまった。
「はは、急にどうしたんですか。かわいいなあ」
「……いつも私ばっかり、頼ってます」
「うん?」
もっと遼雅さんの力になりたい。
遼雅さんのためにできることが何も思い浮かばなくて、途方に暮れてしまいそうだ。背中にぎゅうっと腕を回したら、いつもと同じ、やさしい香りがする。
結局、何一ついい案が浮かばないまま、何度か提案しようと思っていたことをつぶやいた。
「じゃあ、私、お弁当つくりますね」