【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
多忙な人だから、お昼は外で済ませることが多いことを知っている。邪魔になってしまうかもしれないと思って、一度も声をかけずに来ていた。
「……一緒にお昼を食べられる日だけでも、いいです。外勤に日は、お邪魔かと思うので、そのときだけでも」
「本当?」
言い訳がましく補足しているうちに、ぱっと身体を離されてしまった。真正面から私を見ている人は、私の両肩を掴んで、目をまるくしながら問いかけてくれる。
そんなにもおどろくことを提案してしまっただろうか。
「え、と……。お嫌でなければ」
「……すごく、うれしい」
噛み締めるような音に、今度は私がおどろかされてしまった。もちろん嫌がられるとは思ってもいなかったけれど、こんなにも喜ばれるとは思わない。
「そんなに」
「柚葉さんの料理、すごく好きです。きみの愛情を感じる」
「あ、いじょう」
「一食も食べられない日は、かなり落ち込んでます」
かくっと肩を落とすような素振りをされて、すこし笑ってしまった。空気を茶化すのが上手な人だと思う。
まさかそんなに好いてもらえているとは思わない。それなら、すこしお節介をしてもいいのだろうか。
「朝ごはんも私が作りますよ」
「ええ、」
「遼雅さんは、少しでも長く眠ってください」