【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「怒ってるの?」
「怒ってねえよ。呆れてるし心配すんのやめようと思っただけだ」
「あきれさせた?」
「ああーもう、うぜえな!? お前は黙ってあいつに守られときゃいい。ほら、帰るぞ」
嵐みたいな人だ。
勢いに慌てて頷いて、立ち上がる。財布を取り出すのに手間取っているうちに、壮亮がすべての支払いを終えてしまった。
「まって、そうくん、払う」
「いい。これの礼」
さっき手渡した、この間のお礼のお菓子が入った紙袋を持ち上げられた。
私の声を聞かないまま歩き出すから、必死で追いかけて隣にたどり着く。壮亮はいつもやさしい。
「今日もそうくんはかっこいいね」
「っぶ! やめろそれ」
「うん?」
「誤解されんぞ」
「誤解?」
「……お前、なんでそんなアホに育ったんだ? いや俺のせいか……」
「そうくん? 来週はどこでランチする?」
「あいつ、俺と飯だって言って、何も言わねえの?」
信号機が赤になって足が止まる。
すぐ横に立っている幼馴染が、微妙な顔をして私のことを見つめてきていた。遼雅さんの顔が浮かんでくる。
『行っちゃいますか』
「……なにも、という、ことはなかった、気がする」
それがどんな感情でつぶやかれた言葉なのか、私にはただしく理解できなかったのだけれど。