【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

「遼雅さん」

「はい、なんでしょう? お姫様」

「……ぎゅうって、しませんか」


たまらなく恥ずかしい。

職場で何を言っているんだろうと思うけれど、遼雅さんに休んでもらう方法がほかに思いつかないから、しかたがない。そう思い込ませて、ただ遼雅さんに触れていたいだけなのかもしれない。

そうだったら、どうか遼雅さんにはばれませんように。一人心の中で願ってみている。


「良い提案だ。俺もそうしたい」


うつくしい微笑みのまま、遼雅さんが手を広げてくれている。まぶしすぎる光景に目が眩んで、おずおずと席を立ちあがった。


「おいで」

「は、い」


小首をかしげて、待ってくれている。

遼雅さんの隣にぽすりと座り込んで手を伸ばせば、あっという間に体の中に引き込まれてしまった。

遼雅さんの匂いがする。

同じボディソープを使って、同じ洗剤で衣服を洗っているのに、どうして遼雅さんの匂いは私と違うのだろう。


「柚葉さん、最近すこし、身体があたたかくなってきた?」

「ん、そう、かもしれないです」


遼雅さんの熱がいなくなってくれない。ずっと心の真ん中を占領していて、見つめられるだけであつくなってしまう。


「俺のせい?」

「うん、そ、うです」

「かわいい」
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