【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

ぐりぐりと頭に頬を寄せられて、小さく笑ってしまった。遼雅さんが私をほめるタイミングは、どんなに側にいてもよくわからない。

一瞬のさまざまなタイミングで言われるようになってしまったから、ただ胸を掴まれ続けているしかない。


「定期的に俺の熱をあげないと、また冷たくなるのかな」

「う、ん……? たぶん、そう、だと思いますけど」


こんなにもずっと抱きしめてくれた人がいたことがないから、よくわからない。推測して答えれば、遼雅さんが上機嫌に「そうかあ」とつぶやく音が聞こえた。


「じゃあ、たくさん触れたら、そのぶんあつくなるのかな」

「た、ぶん?」


遼雅さんの中はずっとあつい。

今も抱きしめられているだけでぽかぽかして、微睡んでしまいそうだ。実際にすこし前には遼雅さんの腕の中で眠ってしまっていたから、気を付けなければいけないと思う。


「遼雅さん」

「うん?」

「眠くなっちゃいそうです」

「あはは、眠っていいよ。抱きしめているから」

「ううん、今日は、遼雅さんの番です」

「うん?」


私は体温が低いから、全然眠たくなってはくれないだろうと思う。いろいろ考えて、姉にも相談した。姉は軽快に笑いながら一つの方法を教えてくれたから、今日はそれを実践しようと勇んできたのだ。

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