【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
ふわふわと笑って、見るものすべてを安心させてくれるけれど、無防備なところを見せるような人ではないと思う。

いつもしっかりと線引きができていて、公私を分けている印象のある人だ。


「りょうがさん……?」


こっそりと声をかけて、ころりと寝返りを打つ姿にすこし笑ってしまった。

こんなにもぐっすりと眠ってしまえるらしい。こんなにうまく行くと、起こしてしまうのがもったいないくらいだ。

三回目の衝撃的なデートのときも、初めのころも、遼雅さんは私がすこし動くだけで目を覚ましてしまうほど、眠りが浅かったような気がする。

最近は私が起こすまで熟睡してくれているから、もしかすると、すごく安心できる場になってくれているのかもしれない。

思いあがってみて、一人嬉しくなってしまう。私のお腹に顔を寄せて眠っている遼雅さんの前髪を梳くように流して、もう一度囁いた。


「りょうがさん、もう時間になっちゃいますよ」


囁いているから、起きてくれるはずもない。

健康的な寝息に胸をくすぐられて、もうすこし眠っていてほしくなってしまった。

どうしようか。

そっと抜け出して、給湯室に洗い物をしに行ってから、時間ギリギリに起こしてあげればいいかもしれない。
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