【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
おさとうふたさじ
遮光ばっちりのカーテンは、これまた遼雅さんが選んだものだ。
結婚して家庭を持つなら、家の内装にはこだわりたいと言っていた。お互いの部屋から持ち出してきたものもあるけれど、基本的には買いなおしたものが多い。
すべて遼雅さんが良いと思うものにしていた。センスが良いと思う。
何を持ってきてくれても基本的に断ることなく受け入れてしまうのはそのせいだ。
ぼんやりと思って、体全体を包む熱の正体を見上げる。
いつも完璧に微笑んでいる唇は、やわらかくほころんだまま、綺麗に色づいている。眠っていてもなお、美しさが損なわれないから、天性の人誑しだと思う。
あの衝撃的な傷害事件から、気の進まなさそうな遼雅さんと3度デートを重ねた。
すべて会長の指示だったけれど、その中で、あれだけ渋っていた遼雅さんが、なぜ結婚に踏み出そうと思ってくれたのかはいまだに謎である。
じっと見つめていれば、なかなか起きない人の腕に優しく抱き込まれた。
遼雅さんはやっぱり私が思っていた通り、すごくいい匂いがする男性だ。ついでに腕の中は心地よくあたたかい。
『抱きしめて眠ってほしいんです』
本当に、遼雅さんでなければ、ドン引きされてしまうような言葉を持ち掛けたと思う。