【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
おさとうじゅっさじ
呆れのような、疲れのような表情を作っている。
「お前、どうすんだよ」
ため息を落として、ちらちらと送られてくる視線を振り返って、もう一度私のほうを見つめてくる。
金曜日、いつも通りのランチタイムのためにエントランスへと降りてきたら、不機嫌を隠しもしない壮亮と目が合った。
ずんずんと近づいてきて、がっちりと腕を掴まれてしまった。
そのまま連行されてすこし遠いファミレスのボックス席に向き合って座ったのはいいのだけれど、すこし経ったあたりから、会社の社員さんたちがちょこちょこ現れてはこちらを見つめてくる。
「どう、とは」
「この視線だよ」
「やっぱり、噂になってるの?」
渡総務部長は、結局あの日人事部に引きずられるように会社を出て行ったらしい。そのときに大きな声で私と遼雅さんが結婚していることを半狂乱になりながら騒いでいたようだ。
そのおかげか、かなりの社員さんにじろじろと見つめられるようになってしまった。
暗黙の了解として、夫婦は隣接する業務につかないことになっていることをどの社員も知っている。
「そりゃもう。どっちも顔割れてるし」
「割れてる? 遼雅さん、かっこいいもんね」
「……ツッコミ待ちか?」