【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「そうくん、来週はどこでランチする?」
「あー? もうやめとこうぜ。橘に睨まれんのは勘弁だ」
「ちゃんと送り出してくれるよ」
「お前に嫌われたくないからだろうな」
やわく微笑まれて、言葉に詰まってしまった。
壮亮の中では、遼雅さんと私のことについて、もう答えが出てしまっているらしい。恨めしく見つめたら「その顔だよ」と笑われてしまった。
「じゃあ、そうくんのこと、ちゃんと紹介する」
「はあ? やめろよ、こえーわ」
「怖くないよ、やさしいよ」
「お前だけにだよボケ」
もう一度否定しようとして、壮亮が立ち上がってしまった。
「ほら、帰んぞ。あんまあいつのこと煽んないほうがいい」
「煽ってない」
「はいはい」
「今日は私が払う!」
「あ?」
「そうくん、お誕生日だよ。プレゼントも買ってるよ」
「……あー、あっそ」
慌てて壮亮の手からレシートを引き抜いて、会計に走る。
二人合わせても大した額にはならないけれど、とりあえず全額を払って振り返ったら、頬を掻く壮亮が入り口で待ってくれていた。
「お待たせ」
「ん」
いつもしっかりとドアを開いてくれたり、前を歩いてくれたりしている。壮亮は私の自慢の幼馴染だ。ぶすっとしているように見えるけれど、ただの照れ屋さんであることを知っている。