【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「そうくん、またおっきくなったね」
「あー?」
「いつもありがとう、大好きだよ」
「っぶ! やめろそれ!」
「お誕生日おめでとう! はい、プレゼント!」
「人の話を聞け……」
隠し持ってきた紙袋を、呆れ顔の壮亮に手渡す。
毎年の恒例だから、今日は何が何でもランチに行くと決めていた。
ふいに遼雅さんの拗ねた顔を思い出して、かき消す。あとでたくさんお話しよう。壮亮のことを聞いたら、遼雅さんもたぶん笑ってくれると思う。
「いつ用意したんだよ……」
ちらりと紙袋の中を確認した壮亮が、箱を見ただけで中身に気づいてしまったらしい。さすが、コレクターなだけある。
「ふふ、マナくんに手伝ってもらっちゃった」
「学さん? うわ、お前な……」
「結婚式に来てくれたから、そのときにお願いしてたの」
「海外移籍したプロサッカー選手になにさせてんだよ……」
ヨーロッパ限定モデルのスニーカーは、前々から壮亮が欲しいと言っていたものだ。
ついこの間発売になる予定だと聞いていたから、海外で生活している兄のような存在の幼馴染に、こっそり購入してもらえないかとお願いしていた。
「マナくんもお祝いしたいって言ってたよ」
「連絡来た」
「いいなあ~。私もお話したい」
「かけてあげれば? 喜びそう」
「そうくんが、もう一緒にお昼してくれないって相談しようかな?」
茶化して言いながら顔を覗き込んだ。
目が合った幼馴染が、すこし目をまるくして、ため息を吐いてしまう。