【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
お話したいことはたくさんある。けれど、ものすごく顔に出てしまうことに気づいてしまった。
どうしよう。
壮亮から見ても、私のだいすきは駄々洩れみたいだ。すこしそっけないような声が出せて、心底安堵している。
まさかこんなわたしの事情なんて、よくわかっていないだろう遼雅さんが黙り込んでしまった。
「そうくん、お誕生日で……、ずっと前から準備してたから、よろこんでくれて、よかったです」
「……今日は、ちょびっと、かわいいって褒めてもらいました。機嫌がよかったのかな?」
「え、と……、そう、また来週は、近くに新しいお蕎麦屋さんができたから、そこに行きたいってお願いをして、みようかなと思っていて……」
声が聴こえないことに不安になってくる。
ひとしきり喋って、何も言ってくれない遼雅さんに、いよいよ顔をあげようかと思い立ったところで、両足が床から浮いてしまった。
「ひぁっ……!?」
子どもみたいに抱き起されて、ソファまで連行されている。吃驚しているうちに、ソファに座り込んだ遼雅さんの左足に座らされて、すぐ近くから顔を覗き込まれた。
「りょ、りょう……」
「キスしていいですか」
突然の提案だったような気がする。
あまりにも脈絡がなさすぎて、その瞳にねつが灯る意味もわからずに、狼狽えてしまった。