【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
私の表情をじっと観察する人が、頬に手を添えてくる。


「たくさん、したいです」

「まって」

「だめですか?」


いつもなら許可をとることなく触れさせるのに、今日はじっと見つめて、私の答えを待ち構えているようだった。


切ない瞳に見えるのはどうしてだろうか。私の願望だったら恐ろしいと思う。

何も言えないのに、遼雅さんの顔がすこし近づけられて、慌てて声をあげた。


「えっ、う……、でも口紅が、ついちゃいます」


ついさっき付け直してしまったばかりだ。

お昼前にも同じことをしてしまったから、同じ失態は起こさないようにと思って声をあげたつもりだった。

遼雅さんにキスをされたら、全然頭が働かなくなってしまう。

遼雅さんの両頬に手を付けて囁いたら、瞳がやっぱりすこし切なそうに揺れた気がした。

なぜか、とても見ていられない気分にさせられる。

落ち着きなく顔をそらして、ゆっくりと耳元に、遼雅さんの声が囁き落とされた。


「ついてもいいよ。いっそ首に付けてほしい」

「ええ?」


けろりと言いきった。声の熱さで背筋が粟立つ。

片手が腰を掴んでいて、逃げ出すことなんてすこしもできなさそうだ。ただ顔をそむけたまま、遼雅さんの唇が首筋に触れた感触であっけなく肩が揺れてしまう。


「っう、ん……、りょう、が」

「うん?」
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