【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
とっくに好きになってしまっているから、もしも遼雅さんのこころが私と一緒じゃないのなら、正直に伝えて今後のことを遼雅さんに決めてもらおう。

一人決意して、笑ってしまった。


遼雅さんなら、私が好きになってしまったと言ったら、どうにかして私を好きになる努力をしてくれてしまいそうだ。そうしてくれたらいいなと思っている自分に気づいている。


「……ものすごく、あまえてるのに」


遼雅さんにはうまく伝わっていないのだろうか。

浴室から出て、寝室から持ってきていたルームウェアに着替える。タオルドライした髪をドライヤーにかけて、軽く乾き始めたところで玄関から鍵を回す音が聞こえてきた。

考えもなく、スリッパをつっかけて急いで歩いて、ドアが開かれる前に玄関の前に立った。

想像するよりも荒っぽく開かれた扉の先に、予想通りの人が立っているのを見つけたら、ついさっきまでの悩みなんて全部忘れて頬が勝手に笑ってしまう。


「遼雅さん」

「……柚葉?」

「おかえりなさい」


遼雅さんの目の前まで、あともう一歩踏み出したら、彼は私をまじまじと見つめてから、こわばっていた肩の力を抜いたように見えた。

かなり疲れてしまったのだろうか。

無意識にコートを受け取ろうと思って、両手の掌が出てしまった。
< 231 / 354 >

この作品をシェア

pagetop