【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
もしかすると、何度か連絡を入れてくれていたのかもしれない。ようやく拘束が緩んで、遼雅さんの瞳と視線が重なる。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「……お夕飯にしますか?」
「ちょっと、さき風呂もらっても良いですか」
「あ、大丈夫ですよ。寒かったですか?」
「いや、ちょっと頭冷やします」
「ええ?」
苦笑した遼雅さんが私の髪を撫でて、屈みながら唇にキスをしてくれる。
「……柚葉が居なくなったかと思って、すこし取り乱しかけた」
「ええ? ごめんなさい。そんなに心配させてると思わなくて」
「携帯」
「うん?」
「結構、着信履歴残したかもしれない。……気にしないでください」
私の指先を掴んだ遼雅さんが、薬指に嵌められた指輪をじっと見つめて唇で触れてくれる。上目遣いに見つめられて、胸がくしゃりと潰れそうになってしまった。
「ごはん、待っててくれますか?」
「……はい」
「ありがとう。すぐ戻ってくるね」
遼雅さんと一緒にリビングに戻って、寝室に歩いていく姿をぼんやりと眺める。
すごく慌てさせてしまったのだということは、よくわかった。考え込んでいるうちに遼雅さんが出てきて、目が合ったら、やさしく微笑んでくれる。
「柚葉さん」
「はい?」
「風呂の前にもう一回キスしていいですか?」