【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
「あはは、柚葉は騙されやすいから」
遼雅さんに言われてしまったら、そうとしか思えないからこまってしまった。
狼狽えて見つめていたら、やさしい瞳の男性が、どこまでも身体を近づけて、秘密をねだるように囁いてくれる。
「――でももう、俺以外には騙されないでください」
「やくそく、ですか?」
「もちろん。俺と柚葉さんだけの約束です」
言葉と共にあたたかい腕が、胸の中に抱き入れてくれる。
すべての悪意から守ってくれそうな力強いやさしさで、胸が熱くなってしまった。
橘遼雅の腕の中は、他のどの場所よりも、あつくて、やさしい、私の居場所なのだ。
今度こそ、約束を破りたくなくて、私も遼雅さんと同じように耳元に囁きかけてみる。
きっと、一番確実な方法はこの一つだと思う。
「……遼雅さんに私の携帯、見てもらったほうがいいかも?」
密やかに、危険な誘いを持ち掛けたら、私と同じくらいいたずらな顔をした遼雅さんが、もっと危険な言葉で返してくれた。
「あはは。見たらたぶん、俺も監視カメラとかセットしたくなるかも」
そんなこと、きっと私も遼雅さんも、一生しないんだろう。だってこんなにも近くにいられる。
ずっとそばにいたい。
「そんなことしなくても、ずっと抱きしめていてください」
確信していつもと同じように願い出たら、どこまでも穏やかな愛おしい人が、やさしいまなざしで笑ってくれた。
「かわいい俺の奥さんの要望なら、いくらでも叶えますよ」
「だいすきすぎて、胸がいっぱいです」