【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
真剣に思い悩んでいるらしい旦那さんに良案が浮かんで、こっそりと耳に囁いてみた。
「ふふふ、そうですね。会社では会えなくなっちゃいます。……でも、そのぶん、お家でたっぷりあまやかしてくれるんですよね?」
たまには無理をしすぎないで、お家でゆっくりしてほしい。
願いを乗せるように囁いたら、すぐ近くで遼雅さんが笑ってくれていた。やさしい指先に頭を撫でられる。
きっと、私の意図なんてすべてお見通しだろう。
「まいったな、いつもかわいい奥さんが待ってくれていると思うと、すぐに帰ってきてしまいそうだ」
想像通り、簡単に欲しい言葉をくれて、もう一度唇にキスを捧げてくれた。
今日も明日も明後日も、たぶん、ずっと遼雅さんはやさしくて、かっこよくて、すてきな旦那さんでいてくれるだろう。
「ふふ、ぜひ、そうしてください」
幸福の音が耳に聞こえる。
やさしい笑みが、私だけに囁いてくれる。橘遼雅は、あまい人だ。
「かわいいわがままだ」
「嫌いですか?」
「ますます愛おしくて困ってるよ」
どんなリクエストにも簡単に応えてくれる旦那さんに、今日も好きがたくさんになってしまった。振り返って抱き着いたら、同じ力で抱きしめ返してくれる。
愛おしい人。
「柚葉」
「ふふふ、今日も大好きです」
「ああ、もう。……こんなにもかわいくて、愛おしくて、どうしたものかな」
「私は、遼雅さんのすきにしてほしいです」
わたしの大好きな旦那さん。
「じゃあ、これからも」
「――あまやかしても、いいですか?」
橘遼雅は、どこまでもあまい。
私の大切な旦那さんです。