【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

真剣に思い悩んでいるらしい旦那さんに良案が浮かんで、こっそりと耳に囁いてみた。


「ふふふ、そうですね。会社では会えなくなっちゃいます。……でも、そのぶん、お家でたっぷりあまやかしてくれるんですよね?」


たまには無理をしすぎないで、お家でゆっくりしてほしい。

願いを乗せるように囁いたら、すぐ近くで遼雅さんが笑ってくれていた。やさしい指先に頭を撫でられる。

きっと、私の意図なんてすべてお見通しだろう。


「まいったな、いつもかわいい奥さんが待ってくれていると思うと、すぐに帰ってきてしまいそうだ」


想像通り、簡単に欲しい言葉をくれて、もう一度唇にキスを捧げてくれた。

今日も明日も明後日も、たぶん、ずっと遼雅さんはやさしくて、かっこよくて、すてきな旦那さんでいてくれるだろう。


「ふふ、ぜひ、そうしてください」


幸福の音が耳に聞こえる。

やさしい笑みが、私だけに囁いてくれる。橘遼雅は、あまい人だ。


「かわいいわがままだ」

「嫌いですか?」

「ますます愛おしくて困ってるよ」


どんなリクエストにも簡単に応えてくれる旦那さんに、今日も好きがたくさんになってしまった。振り返って抱き着いたら、同じ力で抱きしめ返してくれる。


愛おしい人。



「柚葉」

「ふふふ、今日も大好きです」

「ああ、もう。……こんなにもかわいくて、愛おしくて、どうしたものかな」

「私は、遼雅さんのすきにしてほしいです」


わたしの大好きな旦那さん。



「じゃあ、これからも」


「――あまやかしても、いいですか?」




橘遼雅は、どこまでもあまい。


私の大切な旦那さんです。

< 261 / 354 >

この作品をシェア

pagetop