【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

「実家から、はやく身を固めろと言われてる。縁談を設けると言われたんだけど、そうなるとこっちの役は下りることになる」

「いや、お前あっさり受け入れるなよ」

「取締役についたのも、別に淺野にしてやられただけだろ」


淺野が次期社長に就任するための地盤固めの駒の一つに過ぎない。

営業でそこそこ打ち込んでいただけの人間がいきなり取締役就任というのも、かなり驚いている。それも、まったく拒否権なく勝手に内示で出されてしまって唖然としてしまった。


「もうすこし執着しろよ。お前のそういうとこだからな」

「それなりに気に入ってるつもりなんだけどね」

「お前、捨てろって言われたら捨てそうだから怖いよ。女が寄ってくんのもそういうところじゃねえの?」


私が支えてあげると言われることは多い。

実際には独身歴の長い気ままな生活をしているし、何一つ不自由するところはない。

正直に言うと結婚願望も全くないのだが、両親が孫を見せろとうるさくなってきた。

長男のくせに家業を継がずに弟へ譲ってしまったから、弟からも「そこだけは兄貴が頑張れ」と肩を叩かれている状態だ。

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